フリューゲル・デス・フレースヴェルグで起こる日々の出来事・・・


フフ・・・



ドアの向こうにいる今の主は
その日をどのような心境で迎えたのでしょうか?




重さで耐えきれなくなった

天秤の鎖が切れるまで・・・




あと少し






故人が眠るベッドの傍らで

人知れず静かに真実だけを見ていたのは誰か






変化する人々

変化する世界



時を重ねて

歳を重ねて




形は違えど歯車は揃い加速し始めました。




後は・・・




「失礼致します、マクシミリアン様」







賽は投げられた。

参りましょう、約束の日は近い。










ザ・カドゥケウス・オブ・ヘルメス






ゲスト ノア - -
嵐の前
         

追悼パーティーの時間が近づき、庭園には徐々にお客様が集まってくる。

ブルーノとリクがお客様の対応に追われている。

ブルーノは流石というべきか お客様の対応は手馴れたもので、談笑をしながらスムーズにお客様をお通ししている。


リクはといえば、相変わらず人と話すのが苦手なのか、

そっぽを向いてぶすっとした顔をしている。

そんな顔をしていると…

ほら…

ブルーノのげんこつが飛んでくる。

そんな、日常と変わらぬやりとり


私はといえば、お客様に挨拶をして、会場までご案内をする。

ご案内した中に、気になるお客様が二人いた。

一人は、緑色のドレスを着た美しい少女 ずっとエリーゼ様のことを気にかけてくださっていたのが、すごく印象的だった。

もう一人は、金髪の綺麗な顔をした美少年

お部屋までご案内を終えた別れ際、ふっと不敵な笑みを浮かべた……ような気がした…

気のせいだろうか…

そして…

また、入口までご挨拶に向かう

扉を開けて

「本日はようこそいらっしゃいました。執事のハインリッヒ・マヌエル・グライナーと申します。」



執事 ハインリッヒ - -
ルディネのカルト
         

さて、と…。
さすがに自分がやらせたとはいえ、この量のポテトと玉ねぎは何に使うか悩みますねぇ、

しかし、折角のリーネ殿の追悼パーティー。
これらの食材を無駄にせず、かつ極上の旨味を引き出した料理にしたいですねぇ。

ギョ…、
まずはこの大量の玉ねぎ。

自慢のコンソメを使った透き通るオニオンスープ。

豪勢で口一杯に肉汁と旨味の広がるハンバーグ。

赤ワインの香りを閉じ込めるためにも旬のキノコと包み焼きにして…。

キノコが幻のアマニット・トゥ・モーシュでないのは残念ですが…、

レミに作らせたすりおろしの玉ねぎは折角ですからソースにも使いましょう。

ポテトは付け合わせにもなりますしね。


あとは…。



フゥ



…兄貴の好きだったチキンのブラウンシチューでも作るか。

牛乳が入ってるから背も伸びるんだって言いながらよく食べてたっけか。


まぁ結局、オレの方が背が高くなっちまったけどな…。






…なぁ、ウォーレン。

あんたは明日…来るのかい?



料理長 ロイド - -
デセール
         

「ずびっ……ずびびっ……」

誰もいない厨房に小さく響くのは、涙と鼻水をすする音。

それから、一向に終わる気配のない、玉ねぎの山をすりおろす音。

「ずびっ……ずびびびびっ……」

ううう、何でわかったんスかね。
ほんのちょこーーーーーーーっとだけ、コンソメスープを頂いただけなのに。

さすが、師匠ッス!!!
素晴らしい味覚ッス!
でも……

目が…
目が痛いッス……

師匠……ごめんなさいッス〜〜〜〜〜〜!!!!

でも…
今は誰もいないけど、明日からは、いよいよリーネ様の追悼パーティーのための仕込みが本格化するッス!
きっとこの山のような玉ねぎのすりおろしも、そのためのもの!
罰とは言え……オレ、頑張るッス!!
ずびびびびっ

はぁ〜〜〜、それにしても
師匠の作る、パーティーのお料理、楽しみッス!

ええっと、コース料理は……
アントレから始まって……スープ、パン…?
次はポアソン、ビヤンドにガルニチュールをつけて……
食後はフロマージュにデセール!
で、合ってるッスよね?

追悼パーティーとは言えど、師匠のお料理はすんげぇのが出るに違いないッス!
……あ……
早く終わらせて、仕込みのリスト届けなくちゃいけないッス!

ずび……
でもコレ……
終わるんスかね……

が、頑張るッス!!!!



皿洗い レミ - -
同調
        

窓の隙間から入り込んで頬に触れた風が少し冷たい。
季節のせいなのか、それとも
 
 
 
我ながら珍しく書類整理を進めていたペンを途中で置いて席を立った。
 
 
カーテンをよけて窓を開くと、その風を受けて前髪が少し揺れた。
 
今度ははっきりと私の肌をなぜて、髪の間をすり抜けて消えていった。
 
 
 
追いかけるように想わず振り返ると、そこには勿論すり抜けていった本人の姿はなく。
 
代わりに開いたドアの向こうに立つコックが居た。
 
 
 
 
「お休み中でしたか」
 
「いや。
 
そんなところに立っていないで入ればいい」
 
「ありがとう御座います。
とはいえ、特にこれといった用事があるわけでもないのですが」
 
「何?」
 
「ふと、見慣れない背中を見かけたもので、つい立ち止まってしまいました」
 
「・・・」
 
「・・・。
 
誰にも言いませんよ、こんなこと。
気にしないでください」
 
「ロイド。
 
————おまえは、
 
・・・、
 
・・・いや、なんでもない」
 
 
「気になるじゃないですか」
 
 
「言わなくてもいいことだったよ。
 
今のお前にはな」
 
 
「そんな気がします」
 
 
 
 
 
 
誰もいなくなった自室で、そっと目を閉じてもう一度吹き込んだ風に当たった。
 
 
 
 
「・・・すまない、ロイド。
 
もう少しだ」



長男 クラウス - -
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