フリューゲル・デス・フレースヴェルグで起こる日々の出来事・・・
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 その日がもう明日だという実感が今になって沸かない。


 良い意味でも悪い意味でも。






 自室で書類整理のキリがつき、一息ついてから視線を窓の外へ移し、静寂に気づく。



 屋敷の廊下がいつになく静かな今日は居心地が少し、悪くて。

 無音が私に不安を覚えさせた。




 ひどく蒼く晴れ渡った空に昇る太陽が我が家を照らして、屋敷内に影を作る。






 その光は眩しくて、



 眩暈を起こしそうで。





 その影は強かで、



 その重力に動けなくなりそうで。






 その光の中に立つ事は簡単な様でいて非常に困難で。


 その影・・・、 ・・・闇に佇む事はそのいくらかも簡単なことで。




 私はきっと、もうその光の中に出る事が叶わないのかもしれない


 なんて


 


 私の足元を少しだけ照らす陽の光に熱を覚えながら考えた。






 ・・・近頃、自分でも驚くほど上の空であることが多い。






 「・・・しっかりしなくては」




 今の私には、こんな曖昧な場所で立ち止まっている暇などない。





 たとえ行き着くこの先が太陽の下だろうと、闇の中だろうと、


 この意志は変わらない。






 私が守ると決めたものが、


 それさえ

 それさえが穏やかな光の中へ行き着いてくれたら。


 私の行き着く先などどうでもいい。








 「・・・さて。

 この来客リストの確認で書類整理は最後だな」




 大勢の客の応対に追われているであろう明日の自分の姿を想像して、肩が重くなった。
 




長男 クラウス - -