フリューゲル・デス・フレースヴェルグで起こる日々の出来事・・・
<< 忙中閑有り  〜Gli uomini più attivi hanno più tempo libero.〜 main 気まぐれ >>
Like the moth flying into the ****

         


厨房から大きな音が聞こえました。


お姉様と顔を見合わせましたが、お姉様は驚いていません。
私もきっと、同じ顔をしているのでしょう。



お姉様が何事もなかったようにシーツの繕いを再開したので、私もそうすることにしました。

 



「だ か ら ! 私は在り来りなメニューにはもううんざりなのですよ!!!」



ちょうど厨房の前を通りかかったとき、シェフの声が廊下まで響きました。

シェフ見習いさんの声もします。



シーツの繕いが終わったらナフキンの洗濯をしなければならなかったので、
いつもより騒がしい厨房へ足を踏み入れます。



「客人がビックリするようなル・ディネは、食材から! 食材からド肝を抜くものでなくてはならないんです!!!」

「誰も食べたことがないような…そう、あのキノコとか! あれは惜しいことをしました…」

「しかし! それ以上のものがあるはずなのです! い〜や! 世界は広いですから、どこかに必ずあるのですよ!!!」

「私のセンスと味付けに合う、誰も食べたことのない食材が! ギョギョ〜!」

 

シェフは興奮した様子で、シェフ見習いに話かけています。
私に気付く様子もありません。


 

「例えば、そうですね… … 幻の生物、ですとか」

「いるかいないかわからない! しかし、らしきものを見た者はいる!」

「私の料理にピッタリの食材のはずですギョギョギョ〜!」


大きな音、とは、これだったのですね、お姉様。


 

「それを探しに行くのです、レミ! 時間はありませんよぉ!!!」


包丁を両手に握り締め、窓枠に足を掛けるシェフを、シェフ見習いが力いっぱい引き止めています。
時間がない、とシェフはおっしゃっていますが、探しに行く時間はさらにない、とシェフ見習いは諭します。


追悼パーティは、もうすぐ。



 


「むむむ… だったら、代わりに誰か探しに行ってもらいたいのですが…。…ギョギョ…?」

 





 

パチリ、と音がして、シェフと目が合いました。




メイド ミカエラ - -