フリューゲル・デス・フレースヴェルグで起こる日々の出来事・・・
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衣食足りて礼節を知る
         
 
今日も暑いなぁ…暑いよねぇ?
いやぁ、今日だけじゃないよ?
昨日も一昨日もその前の日も一週間前も一ヶ月前も…
もうずっと暑いんだ。
 
 
 
きっと十年前もフェルマー予想が発見された日も
キリストが生まれた日だって暑かったに違いないよ。
ん……でもどうなのかな、もしかして紀元前は涼しかったのかな?
 
 
 
そもそも「暑い」という概念が気温ではなく体感温度
によるものだとすると、衣食形態の変化や人口増加に
伴う文明発展が原因だという事もあり得る。
 
 
 
んん〜…確か書斎にあるグレゴリウスの隣にタキトゥスが
あったなぁ…んん…今すぐ行きたい、行きたいけれど…
 
 
 
暑いんだってば。
 
 
 
千年以上に遡る気候の変化の真偽はわからなくても、
今日こんなに暑い理由はわかる。
執事のハインゼスさんが置いていったこの分厚い
コートのせいだ。
 
 
 
なんでもクラウス殿からありがたくも下賜された
この一品。
動くのが面倒だからとごねるボクにハインゼスさんが
それはもう器用に試着を済ませ…
 
 
 
済ませたはいいけどハインゼスさん、そのままクラウス殿
の呼び出しに応じて飛び出していったんだ。
立派な忠誠心だとは思うけど、投げ遣りはよくないよね?
 
 
 
そんなわけで研究室の椅子から一歩も動けずにいるボク
だけれど…今日はもう体を起こす気力すら無いよ。
この突っ伏した顔の向きを変える事がせいぜいさ。
 
 
 
…変えなきゃよかったなぁ、顔の向き。
照りつける日差しが眩しいこと、暑いこと。
 
 
 
それでも、こんな暑い夏の日が大好きだって、
姉さんはよく言ってたっけ。
 
 
 
はぁ…ボクには死んでも理解できそうにないよ。
 
 
 
誰でもいいからこのコート、剥いでくれないかな。
ついでに書斎まで背負っていってほしいよ…。



科学者 レオン - -