フリューゲル・デス・フレースヴェルグで起こる日々の出来事・・・
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ビヤンド
         

表面をじっくり焼き固めたあと
オーブンでゆっくりと中心まで火を通す。

焼き上がれば、ほら…!!
いいにお〜〜〜〜い!!!!

師匠の腕が、素早く動くと
あっという間に、焼きあがったお肉の塊がスライスされて
真っ白な大きなお皿に盛りつけられて……

綺麗な鴨肉のピンク色の断面から
閉じ込められていた肉汁が溢れ出るッス!!



うううううう、もうこれだけでうまそうッス……
じゅる……



だけど、師匠の素晴らしさは、これだけじゃ収まらないッス!!!

付け合せに、こんがり焼かれたポムデテールに、鮮やかな緑が綺麗な、アリコヴェールを添えて。
仕上げのソースは……

んん?
この香り……?

「うぇ? チョコレート??」

ふんわりと香る、ビターなチョコレートに、爽やかなオレンジが混ざり合う。
決して甘くなくて、何だか食欲そそられるッス……!!!!

「ショコラは、はじめから甘いわけではないのですよ、レミ。
 カカオの深い香りと、コク、まろやかさは、他の食材には出せないものなのです。
 この絶妙な深みのあるソースに、フルーツをプラスすることで、後味をさっぱりとさせ、しつこくさせず、なおかつこの鴨肉を引き立たせる素晴らしいものに出来上がるのです……!」

おおおおおお………!!!!!!!

後半何を言ってるのか段々わからなくなってきたッスけど、やっぱり師匠は素晴らしいッス!!!!!

とにかく……美味そうっス〜〜〜〜!!!!


「フム。
 では、レミ。今日は特別に、あなたにもこの鴨肉の切れ端を、あとで食べさせてあげましょう。
 あなたにはこの切れ端で十分でしょうね。」

師匠……

う、う、う、う、嬉しいッス!!!!!!!!
感動ッス…!!!!


師匠に拾ってもらうまで、ロクにご飯も食べさせてもらえないようなところで働いていたッス。
でも、家族がそれで少しでもご飯が食べられるなら……全然、苦になんてならなかったッス!
だけど、師匠に拾ってもらって、ここで師匠に沢山のこと教えてもらえて、ご飯も食べさせてもらえて……
本当に幸せッス。

貧しい家だから、食べ物がない時だってあったッスけど、その分、家族みんな、食べられる時は、綺麗に最後まで食べてたッス。

食べることは、生きることなんッス。

だから……
このところ、食事に殆ど手をつけずにいる、クラウス様が心配ッス。
ご飯食べないと、死んじゃうッス。
師匠が天才的な腕前で作った、今日のご飯!
最高ッス!!!
少しでも手をつけて、元気を出して欲しいッス……



皿洗い レミ - -