フリューゲル・デス・フレースヴェルグで起こる日々の出来事・・・
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同調
        

窓の隙間から入り込んで頬に触れた風が少し冷たい。
季節のせいなのか、それとも
 
 
 
我ながら珍しく書類整理を進めていたペンを途中で置いて席を立った。
 
 
カーテンをよけて窓を開くと、その風を受けて前髪が少し揺れた。
 
今度ははっきりと私の肌をなぜて、髪の間をすり抜けて消えていった。
 
 
 
追いかけるように想わず振り返ると、そこには勿論すり抜けていった本人の姿はなく。
 
代わりに開いたドアの向こうに立つコックが居た。
 
 
 
 
「お休み中でしたか」
 
「いや。
 
そんなところに立っていないで入ればいい」
 
「ありがとう御座います。
とはいえ、特にこれといった用事があるわけでもないのですが」
 
「何?」
 
「ふと、見慣れない背中を見かけたもので、つい立ち止まってしまいました」
 
「・・・」
 
「・・・。
 
誰にも言いませんよ、こんなこと。
気にしないでください」
 
「ロイド。
 
————おまえは、
 
・・・、
 
・・・いや、なんでもない」
 
 
「気になるじゃないですか」
 
 
「言わなくてもいいことだったよ。
 
今のお前にはな」
 
 
「そんな気がします」
 
 
 
 
 
 
誰もいなくなった自室で、そっと目を閉じてもう一度吹き込んだ風に当たった。
 
 
 
 
「・・・すまない、ロイド。
 
もう少しだ」



長男 クラウス - -